ペーパームーンのこと
オープンしてから4日目が終わり
明日は初めての定休日。
明日も店に来て、改装途中のものをしあげていく予定。
僕は8年前まで
両替町の雑居ビルの2階で『cafe&bar aura(アウラ)』という店をやっていた。
8年前の年末で閉店し、それからなんのつてもない京都へ引っ越した。
そして2年前、静岡で改めて店を始めようと思い
貯金を貯める為に一度、実家のある東京都青梅市に帰った。
この2年弱の間、慣れない肉体労働をして資金を貯めつつ
今年の春前ぐらいから静岡で物件を探し始めた。
そして、紆余曲折ありながら半年かかって見つけたのが、この物件。
僕が地元に帰るタイミングで閉店したcafe CAPU(カプー)のあった場所。
アウラをやっている時には良く行っていた馴染みの場所。
カプーの元オーナーから紹介されて空っぽになったこの場所を見て(写真はこの時に撮ったもの)
ほぼ即決で決めた。
12年営業していたカプーのイメージや立地で悩むこともあって
色んな人に相談もしたが、心の中では決まっていた。
そして一ヶ月間の改装を経て、なんとかオープンしたのがペーパームーンです。
本当は、店の名前をアウラでいこうと考えていた。
けれど、この場所の持つイメージがアウラとはなんとなく違っていて
もっと柔らかいイメージを想起させた。
いま、思い返すと京都にあるユーゲという一風変わったお店で見た
大道芸人バロンさんのイメージが僕に残っていたのかもしれない。
彼は、タップシューズを履いて
ジャズのスタンダード『It’s Only a Paper Moon』を日本語で歌いながら踊っていた。
この曲は知っていたがこんな素敵な歌詞だとは知らなかった。
この曲は1933年に作られたものだけど
Paper Moon自体は、もっと前からあったようで
アメリカのお祭りやサーカス、遊園地にはだいたいあった人気のものだったようです。
まだ、カメラが庶民の手に届くものでなかった時代
紙の月(材質は木も多かった)に座って恋人や家族で写真を撮ることが
ささやかな幸せの象徴だった。
それを元にこの曲は作られ、更に40年後
ライアン・オニールの映画として有名な『Paper Moon』が作られる。
この映画もロードムービーの傑作で本当に温かい気持ちになれる。
バロンさんの時に初めて知ったこの曲の歌詞の中に
ただの紙の月だけど、信じれば本物になるんだよ。
という歌詞があります。
そういったPaper Moonにまつわるものが知れば知るほど好きになって
この名前をいただきました。
長くなりましたが
まだ始まったばかりの喫茶ペーパームーン
どうぞよろしくお願いいたします。